The Annunciation
Fra Angelico フラ・アンジェリコ
Prado Museum @ プラド美術館
プラド美術館に行くと先ずこの絵の前に立つ。 青を見るためだ。ラピスラズリ(青い石)が遥か海の向こう(ウルトラマリン)のアフガニスタンからベネツィアに着く。さらにこの硬い石を砕き、気の遠くなるような精製プロセスを経て、ウルトラマリンの顔料が手に入る。当時この青は金より高価だった。 カトリック教会はこの顔料の使用を厳しく制限し、聖母マリアの衣にしか使用できない時期もあった。しかしそれは高価さを信者に見せ付ける為でなく、永遠に変わらない神秘の輝きを持つ金箔と同様に、空や海に見られる「青」の掴み難い神秘性の為だろう。まさに天にあるべき「青」が聖衣に宿ったのだ。 19世紀以降、科学の発達で多くの色が発明され、今ではこのウルトラマリンもふんだんに使用できるようになり色の民主化が始まった。