Las Meninas - ラス・メニーナス
Velázquez - ベラスケス
Prado Museum @ プラド美術館
The French critic and writer, Théophile Gautier, who contemplated Las Meninas in the Prado in 1846, asked "But then, where is the painting?
「絵はどこにあるのか?」とフランスの文豪」ゴーティエはこの「絵’」の前に立って言った。1864年のことだ。それは単なるレトリックではないと私は思う。
我々には「絵」としか見えないこの絵も、彼の時代までの人々にとってはこれが正直な印象だったかもしれない。
それまでの絵は、いかに写実的に描かれていようとそれは部分部分の寄せ集めであり、創作されたものだった。
全てが事細かに表現されていて、焦点もバッチリ合っている。鑑賞者はその意味するものを確かめながら物語を追っていくことが出来た。
しかしベラスケスは、今で言うスナップ感覚で、目の前にある「今」を網膜に映る映像そのままに画面に定着しようとした最初のアーティストだ。これは驚異だ。オランダの同時代の画家フェルメールもだが、しかし彼はカメラ・オブスキューラ(暗箱)を使って写真的映像を見ることが出来、それを使用していたのだ。いずれにせよこの二人はフランスの哲学者デカルトの時代と重なる、初めて人が神の眼でなく「我」の眼を通して世界を見始めたのだ。
写真が出来たのは1826年、勿論ゴーティエは写真の存在は知っていた。 しかしあまりに「絵」に対する固定観念が強すぎた。
結果これが「絵」とは見えなかったのだ。