アーティストの仕事
やはりアーティストにとって一番大事なことは、日常生活の中で何か感動を見つけることだと思います。
その個人的な経験を、言葉や絵などの共通言語を使って表現することです。
感動があり、伝える何かが見つかれば技術的なことは自然と後からついてきます。
もちろん紆余曲折はあってなかなか自分の思ったことと表現されたことにギャップを感じることでしょう。しかし感動を持ち続けていればそれは克服されます。
技術ばかり先行していると感動の所在が見えなくなってきます。
これはアートだけでなく料理とか色んな分野にいえることですが、環境的になるだけプロの居る場所に身をおいてみることも大事でしょう。
個人的な経験では、武蔵野美大を出てスペインに渡ってからは学校から身を遠ざけ、ギャラリーや作家といろんなことをやってきました。
今もプロ同士が交流していくことにより個性を磨いていくことを目的にESPACIO TAOを立ち上げて、いろんな国のアーティストを迎えて展覧会を開いています。
個性はじっと閉じこもっていては開花されません。
自分の経験が語られ、人の経験とは違うということがはっきりと確認されていく過程で、「個」としての自分が自覚されると思います。
ただプロの中に居るといってもギャラリーや出版者で働くことはむしろ自分がプロの作家になる上ではマイナスの面しかないでしょう。
アートと関係ないアルバイトのほうがむしろアートに関する材料が一杯見つかるはずです。自分の立っている場所には自分しか居らず、その場所について一番語れるのは自分しかいないのですから。
お互いに夢を持ち続けましょう。
(写真 : サルッツオ・パエザーナ宮殿、トリノ、イタリア)